JAPANミリテールフォーラム

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  • #1 2016-02-21 16:11:02

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
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    【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    皆さん、こんにちは。
    現在スカルピーを使用して新作を制作中です。5世紀のサクソン人の族長になる予定ですが蛮族モノは何かと融通が効くので、ひょっとしたらこれがゴート族かヴァンダル族になるかもしれません。
    制作過程を公開しますが、スカルピーに代表されるオーブンクレイの類は経験が少ない上に、元々確立されたスクラッチのノウハウなんて無くて、いつも迷いながら作っているので「ここはこうすれば上手くいく」みたいな確信的な事は中々書けません。なのでハウ・トゥー的なものでなく、制作日記というかドキュメントというか、そんな感じに捉えて頂きたいです。やるからには少しは役に立つ(かもしれない)情報も盛り込みたいので確信的な事も書くつもりですが、僅かな経験と主観に依拠して書く事になるので、不正確な事や適当な事を書いて惑わしてしまうかもしれません。私もスカルピーについて調べてみたんですが、色んな人が主観や個人的体験に基づいて色んな事を言ってるので、少し混乱してしまいました。なのでそういうものなのだな、と思ってご容赦下さい。なおスカルピー全般に関する知識は、ご存知の方も多いと思いますが、『サンダーロードスタイル』というウェブサイトの『野望のスカルピー王国』というコーナーを大いに参照しました。

    今回は老眼に優しい75mmでいきます。定番の身体比率図を縮尺コピーしたものを元に作る手法をとりますが、併せて立体物としてキャッスルミニチュアの75mmランツクネヒト(Yury Serebryakov氏原型)を参考にしようと思います。
    mini_saxon01.jpg
    御覧のようにかなりボリュームがあります。75mmスケールは通常の○○分の1スケールに換算すると1/24スケールとされる事が多いのですが、このフィギュアの足裏から頭頂部までの全高を仮に80mmとして(実際にはもう少し大きい)、これを24倍すると192cmの巨漢になってしまいます。フィギュアのスケール表記や実際のサイズについては、以前から色々言われているのでこれ以上詳しくは述べませんが、私は75mm=1/22スケール(本当は1/22.75位)と考えて作る事にします。以前投稿した54mmイングランドの騎士も1/32ではなく1/30のつもりで作りました。

    ツールについて
    mini_saxon02.jpg
    貧乏くさくてハズカシイのですが、これ等が私がフィギュア制作に使用する道具です。右から使い古しの筆の柄を削って瞬着をコートし600番までペーパー掛けしたもの。これ以上番手を上げるとエポキシパテなんかはひっつきやすくなって使いにくいです。次は竹串を同じ様に加工したもの。同じく太さを変えた爪楊枝。金属製のスパチュラは一本だけ持っていますが重く感じられて殆んど使ってません。どうも金属製のメリットがよく分からないし、三本組セットなんかも買ってみようかとは思うのですが、見ているとどうにも自分の中の造形感覚がこれを必要としていないのが感じられて、未だに買えずにいます。
    次は主に削ってモールドしていくのに使う道具です。私は基本的にパテや粘土が軟らかい内に形にしていく所謂『盛り派』ですが、それだけだと満足いくクオリティを出せないので削りに頼る事も結構多いです。縫い針の先をより尖らせたもの、逆に丸めたもの、刃物状に研いだもの、押しピンの針を引っこ抜いて(ピンバイスを使うとやりやすいです)先を丸めたもの、いずれもピンバイスに装着して使います。刃物状のものはマイクロチゼルなるものと同じようなものですが、かれこれ三十二年程前から使っているもので(これは三代目ですが)とても愛着があるので(安いし)、性能的には劣るかもしれませんが市販品は買う気になれません。
    次は『野望のスカルピー王国』を参照して今回自作したもので(当フォーラムでも鳴弦屋さんが紹介されていましたがハンダゴテを持ってなかったので)、リボンツールと言うのでしょうか、それともワイヤーツール?まだろくに使ってないのでその有用性は未知数です。真鍮パイプに0.2mmピアノ線をU字形に差し込み、ラジオペンチでかしめてからケイトポリクレイ(オーブンクレイの一種)で根元を固めました。最後はペンシルタイプの消しゴムで、練った直後の軟らかすぎるエポパテにシワをモールドする時は(細いシワは無理ですが)これを使うとやりやすいです。

    これ以外にもデザインナイフやヤスリ等も普通に使います。バストモデルを作る時はモーターツールを使ったりもしますが、(1/6や1/8と比べて)小スケールのフィギュアには殆んど使用しません。

    編集者 myouchin (2016-09-14 22:52:25)

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    #2 2016-02-21 16:20:54

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
    投稿: 162
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    2016年にもなって今まで多くの方々が語ってきたスカルピーについて、マトモに一体作り上げた事も無い私が云々するのはいささか恥ずかしいのですが、とりあえずやってみます。
    まずはやはり顔から始めます。片桐裕司氏の著作『アナトミー・スカルプティング』を参照しています。
    mini_saxon03.jpg
    爪楊枝の先にケイトポリクレイを盛り付け簡単な頭蓋骨を作って焼成し、その上に肉付けしていきます。以前平野義高氏の見よう見真似でこのやり方を試した時は、どうにも効果や意義がつかめませんでしたが、今回はちゃんと本を読んで本格的にやってみます。
    mini_saxon04.jpgmini_saxon05.jpg
    今回初めて使用するスカルピーFIRMで目、鼻、口の順に作っていきます。その後薄く削いだFIRMを貼り付けるように肉付けしました。この薄く削ぐというのはエポパテでは難しいので、スカルピーの利点かもしれません。
    mini_saxon06.jpg
    爪楊枝やニードルでモールドをつけて、ジョンソンベビーオイルをつけた面相筆でならして整えます。面相筆はコシが強い、というか硬いタミヤのナイロン筆を使ってます。より繊細さが必要な場合は塗装用の筆を使います。
    それにしてもFIRM・・・軟らかいですね。イングランドの騎士のヘッドに使用したスカルピープレモはグニグニして小さなものは作りにくかったのですが、それと大差ない感じです。調べてみたらすごく硬いという声が多かったので、今回メインで使ってみようと思ったのですが・・・硬さは出荷時期によって調整されているそうなので、ハズレのロットを引いてしまったという事なのでしょうか。あるいはスカルピーを使う人は大物を作る事が多く、当然大きな塊を練る事になるので、それで硬い、練りにくい、と感じるのかもしれません。試しに私も少し大きめの塊を練ってみましたが、確かに手応えを感じました。一つまみ程度だとまったく硬いとは感じないのですが。
    とりあえずここで一旦焼成する事にします。塩野七海的表現をすれば「微苦笑を禁じ得ない」位の出来ですが、とにかくストレスを感じる軟らかさ、作りにくさなので。
    使い古しのホットプレートで、焦げ防止に段ボールを敷き爪楊枝を木のブロックに差し込んで、140度(130度の目盛がないので)15分焼きました。焼成の際に有毒なガスが発生するそうなので、マスクを着用し、換気もしっかり行います。
    mini_saxon07.jpg
    ところがここで悲劇が・・・前頭骨部分が長すぎてナメック星人みたいだったので、焼成後に頭頂部を削っていたら御覧のように鼻がポッキリ折れてしまいました。そんなに強く持っていたわけではないのですが・・・鼻の穴のモールドを深く入れ過ぎたせいか、それとも焼き時間か温度か、いずれにしてもケイトやプレモではこんな経験は無いので少しオドロキです。
    mini_saxon08.jpgmini_saxon09.jpg
    気を取り直して再び盛って焼いて(今度は140度10分)削ります。この作業効率の良さはやはり得難い強みですね。ニードルを立てたり寝かしたりして彫っていきます。写真は小鼻を彫っている所ですが、こういう部分には尖ったものを、ほうれい線なら丸めたものを、というように使い分けています。刃物も使いますがほうれい線や口の両端の僅かなくぼみのような繊細なモールドは、ニードルの方がやり易いように私には感じられます。
    しかしここでまた気になる点が・・・FIRMは切削感自体は『カリコリ』という感じで非常に良いのですが、どうも素材密度が低いのか削れ過ぎるようです。ニードルを寝かせて表面を軽く擦っただけでものすごく削れるし、細かい部分も欠けやすいようです。
    mini_saxon10.jpg
    ここまで三回追い焼きしています。アセトンを含ませた綿棒や面相筆で擦って表面処理しました。アセトンは焼成後のスカルピーをほんの少しだけ溶かすそうで、しかも揮発が非常に速いので、大目につけてもシンナーをつけ過ぎたプラパテのようになる事もなく、表面処理がかなり楽な感じです。アセトンはホームセンターで買いました。
    眼球は大スケールのフィギュアだと上瞼・下瞼と一緒にモールドしますが、小さい物だと最初にくぼみを作って硬化させてから、丸めたパテなり粘土なりをくぼみに入れる方が圧倒的にやり易いです。上手く作れないと感じる時は、このように工程を分割して作業しています。

    しかしここまで進めてみましたがFIRMのファーストインプレッション、どうも芳しくありません。ツールやマテリアルはある程度の作品数をこなさないと、メリット・デメリットをひっくるめた総合評価は出せないとは思いますが、ケイトやプレモを初めて使った時と比較するとどうも・・・。
    mini_saxon11.jpg
    という訳で比較実験をしてみます。上からプレモ黒・FIRM・ケイトポリクレイ・プレモ黒とFIRMを5:5でブレンドしたもの。大体3mmくらいの棒状にして140度15分で同時に焼いてみます。
    mini_saxon12.jpg
    まず強度ですが御覧のような結果になりました。他3種がUの字に、両端がくっつくまで曲げても折れないのに対し、FIRMはさほど力も入れてないのにいとも簡単に折れてしまいました。「えっ!これで?」位の感じです。切削感や硬いとか軟らかいとかはあくまで主観や好みの問題なのですが、これは客観的なデータなのでFIRMの強度に難があるのはハッキリしました。他3種は違いが殆んど分からないのに、一つだけ随分と違うものです。う~ん。
    次に切削感ですが、プレモはビニール質というかゴム質という感じで焼成後も弾力があって、切削感はかなり悪いです。ただゴム質にも利点はあって、浅いシワをあとほんの少し深くして強調したい場合等には、ニードルを押し当てて扱くと、跡がついて簡単に表現出来ます。口の両端のほんの僅かなハの字のくぼみのような、削りでやれば最高難度の表現も、先を丸めたニードルを押し当てればあっさり出来てしまいます。FIRMはタミヤのエポパテ並のとても良い切削感ですが、削れ過ぎるのがやはり気になります。ケイトはプレモよりは良いのですがやはりビニール質な感じで『カリコリ』という感じではないですね。でも決して悪くはないです。ブレンドはケイトに似ている感じです。
    焼成前の硬さはプレモとFIRMは同じか、ややFIRMの方が硬い位、ケイトは私が買った物は非常に硬かったです。小さい物を作るのには硬い方がいいのですが、問題は油分がよっぽど少ないのか、練っているとぼろぼろと崩れてきてしまってまともに練れない点です。エナメルシンナーを少量加えて弱のドライヤーで温めながら練ると何とかなるのですが、この辺りがどうも難儀ですね。鎖帷子もキレイに作れなかったし。いずれにしてもこのままFIRMメインで続けるのは不安を感じます。大して作り込んでいなかったとはいえ、やはり鼻が折れた体験は大きいです。少し検討してみます。

    *補足*

    この結果には疑問がある事が後日判明しました。3ページ目で再検証を行っているので、そちらをご覧ください。



    mini_saxon13.jpgmini_saxon14.jpg
    四回追い焼きをしてとりあえずここまで仕上げました。髭はまだ作らないでしばらく寝かせて、その間に体の方を作ろうと思います。頭蓋骨に肉付けしていく手法は、今回少しは掴めたような気がします。目・鼻・口を先に作って、その後にアウトラインを決めていくのは有効かもしれません。断言は出来ませんが。

    編集者 myouchin (2016-05-11 21:59:28)

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    #3 2016-02-27 20:03:12

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
    投稿: 162
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    今回は体を制作する訳ですが、その前に前回作ったヘッドを片面取りして複製し、木工パテでもう片面を作ります。体は頭部を基準に作るのが定石ですが、脆いFIRM製のヘッドではどうにも不安があるのでこれをダミーとして使います。これで安心です。
    mini_saxon15.jpg

    とりあえず素体は芯が入るので多少強度に難があっても大丈夫だろう、という訳でFIRMを使用し、その上に着せる服はFIRMとプレモのブレンドでいこうと思います。
    mini_saxon16.jpgmini_saxon17.jpgmini_saxon18.jpg

    ヘッドと同様に『アナトミー・スカルプティング』を教材とします。本来は腕も一緒に作る筈なのですが、今作は完成後の型取り・複製を考えているので、パーツ分割を考えると腕に芯を入れるのは厄介そう、という訳で腕は後回しにします。
    芯には0・55ミリの銅線を使用しましたが、直接スカルピーを盛ってもマトモにくいつく訳はないので、銅線に盛ったスカルピーを一度抜き取って焼成し、それを再度銅線にはめて瞬着で固定しました。関節の位置を見失わないように(特に膝関節)空けておきます。
    予め焼いておいた肋骨を接着し、背骨と骨盤を盛りつけて焼成します。この部分は思いつきで銅線に瞬着を塗り、そこにグランドワーク用の砂利をまぶしてからFIRMを盛りつけましたが、少しはくいつきがいいようです。
    mini_saxon19.jpgmini_saxon20.jpgmini_saxon21.jpg

    肩甲骨と鎖骨を作り焼成、その上に筋肉を盛ります。アメリカンプロレスラーのようなマッシブな体躯を目指しています。デバイダーで身体比率図と照らし合わせ、各部位の位置を確認しながら進めました。それにしても芯に銅線を使ったのは失敗でした。筋肉を盛っていく内にグニグニ歪んでいくので、後々修正するのが大変でした。やはりもう少し太めの真鍮線にすべきでしたね。
    mini_saxon22.jpgmini_saxon23.jpgmini_szxon24.jpg
    とりあえずこれ位で中断としておきます。まだ焼いていないのでこの状態でしばらく寝かせてクールダウンし、その後気になる所が出てくるようなら修正しようと思います。

    この素体作り、およそフィギュアのスクラッチに手を出した人間の殆んどが、最も難しいと感じるプロセスではないかと思います。かくいう私もこのプロセスに関しては、自分の中に確信的に語れるものが全くと言っていい位存在しない事に気づいて、少しショックでした。こんなにも人体について無知だったのかと。ただ、今回は余計な事は考えずに、ちゃんとした教科書に可能な限り従って作ったので、(ポーズが簡単だった事もあり)過去作よりはスムースに作れたような気がします。
    どうもアナトミー=解剖学というと人間を『人間』ではなく『人体』として捉えている、みたいな血の通わない印象を感じてしまって、ずっと抵抗感を抱いていたのですが、それで解剖学と向き合わずにいるとおかしな体つきのモノしか作れない事が今さらながら分かってきました。どうやら勉強が必要なようです。

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    #4 2016-02-27 20:25:43

    hiranuma
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    From: 東京都
    登録日: 2015-08-25
    投稿: 187
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    myouchin さん


    凄いですね。
    人体解剖図をもとに粘土でフギュアーを作るなんて!? レオナルド・ダ・ビンチみたいですね。
    なんだかどんどん引き離されているような気がするのは私の勝手な思い込みも半分あるかもしれませんが、そもそもの立脚点が違いますね。
    芸術なのですね(私のは模型です)。
    とても刺激を受けます。
    「こころざせばなにおかならんや」の気分になるから不思議です。
    学んで少しずつ近づけるようになりたいと思っております。
    今後のレポートが楽しみです。


    《AFV model 微細加工研究所 研究員》

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    #5 2016-02-28 09:50:00

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    hiranumaさん、コメント頂きありがとうございます。

    お褒め頂いて恐縮ですが、今回やった事はそれ程本格的ではないと思いますよ。解剖学とかはホントよく分からないです。
    それと私も自分の作っているものを模型だと思っています。芸術だなんて思った事はただの一度もないです。むしろ子供の頃からやっているこの模型趣味の世界に強い帰属意識を持っているので、芸術という言葉にはある種の反骨心すら覚える位です。

    今回久しぶりにスクラッチをするにあたって他にも幾つか候補があったのですが、その一つに英仏百年戦争におけるポワティエの戦いの敗残兵(騎士ではなくそれより下の身分の)というのがありました。それというのも以前hiranumaさんが仰っていた「ヒストリカルフィギュアー的な造形の場合はカッコイイか激しく獰猛な感じになりがちです。(中略)リアルなものを求めると普通の人、弱い人がいてもよいのではないかと思うことがあります。」というこの言葉が(実に正鵠を射たご意見だと思います)ずっと頭の片隅にあって、それで弱さを感じさせる人物を作ってみようかな、と思ったんです。
    結局コート・オブ・プレートと呼ばれる当時の体防具がどうにも感じが掴めないので、今回は見送る事にして普通にカッコイイ系のものにしましたが、いつか単純にカッコイイだけでないフィギュアも作ってみたいと思っています。

    「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」の名言もあります。私もPutty & Paintのような海外の超絶サイトを見ていると、置いて行かれるような危機感・焦燥感を感じますが、そんな時はよくこの言葉を思い出します。
    でもこの言葉・・・名言だとは思うんですが、どうも『がんばれ!!ロボコン』を思い出しちゃって微妙に身が引き締まらないんですよね(笑)。

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    #6 2016-03-09 20:56:23

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    胴体を寝かしている間に盾を作りました。

    mini_saxon25.jpg
    そういえば今回のフィギュアの元となるイラストを示していませんでした。上の画像の真ん中の人物になる予定ですが、盾はイギリスのサットン・フーの墳墓から発見された副葬品を参照しています。

    mini_saxon26.jpgmini_saxon27.jpg
    大英博物館所蔵の復元品です。遺跡自体は7世紀のものなのでこの盾を5世紀のものとするのは考証的に問題がありそうですが、盾と一緒に発見された有名な兜は、メン・アット・アームズ『アーサーとアングロサクソン戦争』によると、後期ローマ軍の騎兵の儀仗装備を元にしており、墳墓自体よりも古くおそらく500年頃の品物であろう、との事で、またイラストは5世紀の人物を描いたものですが、猪の飾りが付いたスパンゲンヘルムはベンティ・グレンジ遺跡から発見された推定7世紀頃の品を典拠にしているので(解説によるとこういった形式の兜は3世紀頃から使われていて決して特異なつくりではないそうです)、サットン・フーの盾も5世紀のものとして扱っても大丈夫ではないかと思います。多分。

    mini_saxon28.jpgmini_saxon29.jpgmini_saxon30.jpg
    100円ショップで買ったナイロン製おたまに離型剤を塗ってレジンを流し(温かいうちが脱型しやすいです)、これを原型としてヒートプレスします。真円とまではいきませんがそれなりのものにはなってくれます。

    mini_saxon31.jpgmini_saxon32.jpg
    ボス(盾芯)はふくろナットにメンソレータムを塗り、エポパテを盛って硬化後取り外して整形します。ここは本来ウェーブのI・チップ【丸】を使うつもりだったのですが、“フルスクラッチ”をうたってしまった以上流用パーツはマズイのではないかと思い直し、このようになりました。まあ念の為という事で。
    3重丸の装飾は、以前ヴァーリンデンのリー将軍バストモデルのためにつくった南軍のボタンを元にしています。ポリパテによる複製は、最初にラッカー系のうすめ液で溶きパテにしたポリパテを面相筆でシリコンのモールド表面に塗り、それから普通のポリパテを詰め込むと失敗が少ないと思います。

    mini_saxon33.jpgmini_saxon34.jpg
    こんな感じになりました。実物はおそらく実用品ではなく祭儀用と思われるので微細な彫刻は省略しています。

    mini_saxon35.jpg
    エポパテの硬化促進は写真のようにクーラーボックス(リサイクルショップにて800円で買った品)に湯たんぽ(踏んづけてヒビを入れてしまった品)と一緒に入れておこなっています。
    いちいちお湯を沸かさないといけないのが面倒ですが寒い時期はかなりの効果を発揮してくれます。プラパーツの変形は見られませんが湯たんぽに直接接しているとマズイかもしれません。段ボールを介していれば大丈夫でしょう。
    今回1時間毎の庫内温度を測ってみました。
    1H 46度
    2H 43度
    3H 38度
    4H 34度
    5H 30度
    6H 28度
    7H 26度
    8H 25度
    以上のようになります。さすがに温冷庫や山善の食器乾燥機(生産終了だそうです)に比べると劣ると思いますが、初期投資は格段に安くあがります。あと少しはエコかもしれません。

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    #7 2016-03-28 21:51:58

    myouchin
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    またもトラブルが発生してしまいました。

    mini_saxon36.jpgmini_saxon37.jpgmini_saxon38.jpg
    寝かしておいた素体に修正を加え、焼いてみたところ脚部に微妙な歪みが出てしまいました。修正の際に歪んだのに気付かないまま焼いてしまったのか(ちゃんとチェックしたつもりだったのですが)、あるいは焼成時に歪みが発生したのか、いずれにしても芯に細く、軟らかい銅線を使用してしまったのが元凶です。もうホントに失敗でした。
    当初は真鍮パイプを使用して限定的な補強で乗り切るつもりだったのですが、補強作業中にも予期せぬ部分にヒビが入るし、スカルピーは焼成しても再加熱すると軟らかくなるので、このままだと追い焼きの度に歪みが発生する怖れがあります。なので脚を完全に作り直す事にしました。芯を1ミリ真鍮線に変え、FIRMとプレモ(白+黒)を5:5で混ぜたより強度の高いもので肉付けします。
    両腕も作りました。こんな感じのポーズで行こうかなと思います。盾は左手に持たせるつもりだったのですが、ナント盾の曲率が大き過ぎて、この状態だと取っ手の部分に手が届かない事が判明しました。何とも間抜けな話ですが、ポーズのイメージは既に固まっていてこの左腕の状態も変更したくないので、盾を背中に背負わせる事にしたのですが、今度は盾が異様に大きく見えてしまいます。どうやらこれは盾を新規に作り直すか、完全にオミットしてしまうか、検討が必要のようです(考証的にもアウトのような気がしてきたので)。


    モチベーションが急降下してしまいましたが、何とか気を取り直して1番楽しい服を着せるプロセスに入ります。

    mini_saxon39.jpgmini_saxon40.jpgmini_saxon41.jpgmini_saxon42.jpgmini_saxon43.jpgmini_saxon44.jpg
    適当なズボンに実際に紐を巻いて写真を撮り、それを参考にしてシワを付けていきます。シワの造形はやはり写真をよく観察して作るのが1番ですね。これだ、という写真があるのとないのとでは自分で作っていて明らかな違いがあるのが分かります。イマジネーションで作るとどうしてもリアルなものにはならないように思います。但し画像検索しても最適な写真が見つかるとは限らないし、自分で用意するにしても中々イメージにピッタリとはいかないので、イマジネーションによる補完とアドリブを利かせる事は不可欠です。他の人がどうなのか分かりませんが、個人的には写真7・イマジネーション3程度のバランスが理想的かな、と思います。
    予定通りFIRM+プレモ白を使用し、表面処理はベビーローションからラッカー系の溶剤に変えてみましたが、特にグネグネと軟らか過ぎる感じもせず(プレモはFIRMより軟らかいのに)、扱いやすくなったと思います。これがFIRMとブレンドの違いなのか、ベビーローションとラッカー系溶剤の違いなのか、あるいはその両方なのかよく判りません(顔と服のシワでは造形のシビアさが違うし)。いずれにしてもスカルピーに期待していた性能がようやく感じられるようになったので正直ホッとしました。

    mini_saxon45.jpg
    今回服のシワのモールディングに活躍してくれた道具です。ホルダー消しゴムは新たに2.3ミリ経と角形を導入しました。柔軟性があるので爪楊枝やへらよりも多少は繊細なタッチでモールド出来ると思います。
    最初に「有用性は未知数」と書いた自作リボンツールですが、非常に使える事が分かりました。当初は表面を平滑にならす道具なのかと思っていたのですが、シワ作りにも大変有効です。爪楊枝やニードルを押し当てただけではどうしても大味なシワにしかならないので、そこをたたき台にしていかに複雑・微妙な表情を付与していくかが難しいのですが、このリボンツールはかなり繊細な表現も比較的楽に出来ると思います(スカルピー使いの方にとっては常識と思われるので今さらこんな事書くのもハズカシイですが)。初めてケイトポリクレイやプレモを使った時は『焼かなければいつまでも柔らかい・焼けば直ぐに硬化』という点に魅力を感じたものの、粘土としての純粋な性能はエポキシパテには劣ると思ったのですが、リボンツールが使えるという点はポリマークレイ類の大きなアドバンテージかもしれません。

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    #8 2016-04-05 21:12:36

    myouchin
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    登録日: 2015-07-28
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    チュニックの裾と鎖帷子を作りました。

    mini_saxon46.jpgmini_saxon47.jpgmini_saxon48.jpg
    この鎖帷子、見た目から受ける印象だとかなり高度なテクニックを要するように思われるかもしれませんが、やってみると実はそれほど難しくはありません(決して簡単ではありませんが)。但し技術的難度と作業的に楽か否かは別問題、作業自体はかなり大変です。以前は可使時間に制約のあるエポキシパテを使っていたので、手の遅い私にとっては頭の痛くなる工程でした。硬化後に削って修正してどうにかなるようなモールドではないので、可使時間内に一発勝負で終わらせなければいけないのですが、作業量が多くそれでいて緻密さを要するモールドでもあるので、とにかく時間に余裕がないのです。可使時間の長いタミヤ高密度タイプを使用し、冷凍庫に入れて休憩を取りつつ作業するのですが、最後の方はいつも硬化し始めたエポパテをドライヤーで温めながら、ムリヤリモールドしていたものです。しかもやっていて特に楽しい訳ではないし、終わると達成感はあるものの、それ以上に疲労感が重くのしかかってくる実に難儀な工程でした。塗るのは楽なのですが。

    何やら脱線してしまいましたが、実際の作業について説明してみます。もっともこの手のモールドを必要とするフィギュアを自作している人間が、果たしてこの日本に何人いるのか疑問ですが(一桁超えるか、超えないか位でしょうか)、需要はゼロに近くともこうして記事にして残しておけば、いつの日か何処かの誰かが役立ててくれる事もあるかもしれません。多分。

    mini_saxon49.jpgmini_saxon50.jpg
    削りでの修正には向かないので、切削感の良さは必要ありません。よって焼成後はゴム質になるものの、焼く前も比較的柔らかくモールドしやすそうなプレモ(白+黒)を使用します。
    素体の上に服を着せる際に、意外と時間が掛かるのがボリュームの調整です。片方の腕を先に作ってそれにもう片方を合わせる、なんて場合は特にそうですね。鎖帷子はモールディングの為に一定の厚みが必要であり、薄すぎるとダメなのでここでかなりの時間を消費してしまうのですが、スカルピーならじっくり時間を掛けても大丈夫です。エポパテで鎖帷子を作る場合は、1度に全てを作らず分割して作業する事も一つの手段ではありますが、硬化後ほんの僅かながら肉やせするので、どんなに丁寧に処理しても境目に微かな段差が出来てしまいます。
    ラッカー系溶剤を付けたナイロン筆で表面を整え、水を付けたクレイシェイバーを撫で付けて刷毛目を消します。この辺は経験が少ないので何がベストなのかまだよく分かりません。

    mini_saxon51.jpg
    0.4ミリのドリル刃の反対の部分でモールドしていきます。爪楊枝やニードルのような先の細いものだと、モールドの深さによっては穴の径が不揃いになってしまうので、基本的には真鍮線やドリル等の径が一定したものを使います。ニードルはシワの谷部分や辻褄を合わせなければならない箇所に使います。今回は殆んど使っていません。
    スカルピーはエポパテに比べ粘りに欠けるので、細かいモールドを付ける際にモールドが割れてしまう事があります。こういう所はエポパテの方が優れていますね。割れを予防するにはモールディング前に溶剤をさっと塗って軟化させたり、ツールに溶剤を付けながら作業するようにします。割れた場合も溶剤を含ませた面相筆で丁寧に撫で付けてやれば修正出来ます。
    ドリルを斜めから刺して端をほんの少し持ち上げるようにモールドします。感覚的にはスプーンでスープを掬うような動作、と言えば分かりやすいでしょうか。S字になる事を意識してピッチを揃えるように行います。1列終わったら逆方向になるようにフィギュアを逆さまにして、同じ様にモールドします。逆さまにすると列の間隔が分かりにくくなりますが、ほんの僅かでも列の間が空くと結構目立つので注意が必要です。全体的に見てキレイなスラロームのように見えるのが理想です。

    mini_saxon52.jpg
    肩の辺りで辻褄が合わなくなってしまいましたが、マントで隠れるので問題ないでしょう。概ね納得のいく結果になりましたが満足は出来ません。ピッチが乱れた箇所やスカルピーの層が薄すぎて汚くなってしまった箇所があります。海外の優れたスカルプターには本当に精確でキレイな仕事をする人がいるので、もう少し上手く作れるようになりたいです。作業自体は時間も十分に取れてあまり消耗もしなかったので、以前よりは楽でした。やはりスカルピー使用のメリットは大きかったようです。

    編集者 myouchin (2016-04-05 21:16:03)

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    #9 2016-04-05 22:24:37

    hiranuma
    Member
    From: 東京都
    登録日: 2015-08-25
    投稿: 187
    マイトピック
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    myouchin さん

    足元の解像度が素敵だと思っていたら、風合いのあるチュニックに造形美を感じる楔帷子はすごいです。
    75mmですとおよそ1/24スケールでしょうか。
    1/35よりは大振りとはいえ素晴らしいディテール再現でこの先完成が楽しみです。

    楔帷子の製作法を披露いただきありがたいです。
    なにかの機会に使わせてもらいます。

    見ていて思い出したことがあります。
    40数年前にタイガーⅠ やタイガーⅡ のツメリットコーテイングを再現しようと思い
    装甲板の上にセメダインを塗布して生乾きさせたとこでマイナスドライバーを斜めに押し付けて刻んで表現したのですが、
    myouchin さんの楔帷子の再現と同じような感じでした。
    面積が多いので全部に施すのが結構な手間でしたが見栄えと達成感があった記憶があります。
    (この楔帷子の法が緻密ですが)


    《AFV model 微細加工研究所 研究員》

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    #10 2016-04-05 23:13:18

    おさる
    Member
    登録日: 2013-01-24
    投稿: 214
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    Re: 【完成】Saxon Chieftain 5th Cent.A.D. ーサクソン人の族長ー (フルスクラッチ75mm)

    いやぁ~、これは集中力がいりますね~。ビックリです。
    しかし見ていてとても面白いです。
    手の指の作り方なんぞもレポートしていただけると嬉しいです。


    〽もはや今となりては~浮世の事どもいっさい夢に御座候,ベベンベン♪。 byおさる

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